令和4年度全国発明表彰 受賞発明・意匠概要(敬称略)
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未来創造発明奨励賞
橋梁など鉄鋼構造物の金属疲労亀裂補修工法の発明(特許第4441641号)
山田 健太郎 | 国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学 名誉教授 | |
石川 敏之 | 学校法人関西大学 環境都市工学部 教授 |
未来創造発明貢献賞
松尾 清一 | 国立大学法人東海国立大学機構 機構長 |
本発明の金属疲労亀裂の補修工法(Impact Crack Closure Retrofit Treatment工法。以下、ICR工法。)は、市販の安価な工具を用い、疲労亀裂の両側および直上を叩いてその部分に塑性変形を生じさせて、亀裂を閉じる工法である。破壊力学の基礎理論から、荷重によって亀裂が開かない場合、それ以上の疲労亀裂の進展を遅延、あるいは停止させることができる。
従来の橋梁などの金属疲労亀裂補修工法として、溶接工法や当て板工法が一般的であるが、施工コストが高く施工時間が長いなどの課題があった。ICR工法は、大型設備が不要で、簡便・短期間・低コストでの補修施工が可能である。
疲労試験では、疲労亀裂を発生させた後にICR工法で施工した場合、疲労寿命は10倍以上に改善された結果が得られた。すなわち、鋼橋に生じた疲労亀裂の補修・補強にICR工法を適用すると、残存寿命が大幅に改善できる。
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