令和4年度全国発明表彰 受賞発明・意匠概要(敬称略)
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未来創造発明賞
超低消費電力型多彩エレクトロクロミック材料の発明(特許第5062712号)
樋口 昌芳 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 機能性材料研究拠点 グループリーダー | |
林 灯 | 国立大学法人九州大学 エネルギー研究教育機構/工学府水素エネルギーシステム専攻 教授 | |
KURTH Dirk G. | Julius-Maximilians-Universität of Würzburg, Faculty of Chemistry and Pharmacy, Professor |
未来創造発明貢献賞
宝野 和博 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 理事長 |
本発明は、電気化学的酸化還元により可逆に色を変える特性(エレクトロクロミック特性)を有する新材料(メタロ超分子ポリマー)、及びそれを用いたデバイスに関するものである。
この新材料は金属錯体が数珠つなぎになったユニークな高分子構造を有し、金属の電気化学的酸化還元によって、金属錯体の電荷移動吸収に基づく発色が出現/消失することで色変化する。電荷移動吸収のモル吸光係数が数万以上と大きいため、数百ナノメートルの極薄膜で大きな透過率変化を示す。また、メモリ性があり、超低消費電力での表示特性を有する。さらに、金属の安定な酸化還元特性に基づいて10万回を超える高い繰り返し駆動安定性を有する。
金属や配位子の種類を変えることで、極めて多彩な色に調整できる。本材料は塗布で製膜できるため、電極基板にガラスだけでなくプラスチックフィルムも選択でき、フレキシブル調光フィルムデバイスが作製可能である。今後調光デバイスとして幅広い普及が期待される。
図1 (a)メタロ超分子ポリマーのエレクトロクロミック変化と、(b)カラーバリエーションの例 |
図2 メタロ超分子ポリマーを用いた調光ガラスの設置 |