令和4年度全国発明表彰 受賞発明・意匠概要(敬称略)
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未来創造発明奨励賞
不純物を制御した高効率深紫外光波長変換素子の発明(特許第4911494号)
吉村 政志 | 国立大学法人大阪大学 レーザー科学研究所 教授 | |
森 勇介 | 国立大学法人大阪大学 大学院工学研究科 教授 | |
西岡 志行 | 住電半導体材料株式会社 製造部 伊丹結晶生産技術課 主席 (元 国立大学法人大阪大学 大学院工学研究科) | |
桂 智毅 | 三菱電機株式会社 産業メカトロニクス製作所 主席技師長 | |
小島 哲夫 | 三菱電機株式会社 ビジネスイノベーション・DX戦略室 担当部長 | |
西前 順一 | 三菱電機株式会社 先端技術総合研究所 主席研究員 |
未来創造発明貢献賞
西尾 章治郎 | 国立大学法人大阪大学 総長 | |
漆間 啓 | 三菱電機株式会社 取締役 代表執行役 執行役社長 CEO |
本発明は非線形光学結晶CsLiB6O10(以下CLBO、図1(a))の光学特性を向上させ、半導体の検査やレーザー加工に用いられる深紫外レーザー装置の実現に貢献するものである。
波長300nm以下の深紫外光の波長変換特性に優れているCLBOは、水不純物が含まれた状態で使用すると出力が飽和するが、熱処理と雰囲気制御を組み合わせて水不純物を低減させると出力特性が改善し、深紫外レーザー光源が安定化することを発見した(図1(b))。
その後、本特許の技術指導や国内の結晶製造企業へのライセンス活動を通し、深紫外レーザーを搭載した半導体検査装置の世界的な普及につながった。また、深紫外光は材料を分解する能力が高いため、ガラスなどの透明材料や溶融温度が異なる材質で構成される複合材料などの難加工材の微細加工に優れており、図2に示す次世代の深紫外レーザー加工装置への応用も期待されている。
図1 | (a)CLBO結晶インゴット(126×77.5×64mm3、重量621.2g) (b)本発明により実現した平均出力10Wの波長213nm深紫外レーザー入出力特性 |
図2 | 本発明を活用した次世代の高出力深紫外ピコ秒レーザー加工装置試作機(平均出力50W、波長266nm) |