令和4年度全国発明表彰 受賞発明・意匠概要(敬称略)
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経済産業大臣賞
低速微細血流を映像化する超音波映像装置用信号処理法の発明(特許第6553140号)
佐藤 武史 | キヤノンメディカルシステムズ株式会社 研究開発センター 先行技術研究部 イメージング技術担当 |
発明実施功績賞
瀧口 登志夫 | キヤノンメディカルシステムズ株式会社 代表取締役社長 |
本発明は、医用超音波診断装置の血流映像法に関するものである。
血流診断を妨げる要因の一つに、組織の動きに起因して映像上に現れる組織ノイズがある。従来は、組織の動きよりも血流の方が速いことを前提にハイパスフィルタで組織の動き成分を抑制していたが、この方法では、組織の動きよりも遅い血流(低速微細血流)は、組織ノイズに紛れて映像化できない。
本発明では、リアルタイムに主成分分析を行い、エコーに含まれる主成分以外の成分を抽出して映像化する。組織からのエコーは振幅が大きく組織の動きは時間的・空間的にほぼ均一なので、主成分となる。つまり、主成分以外の成分を抽出することで組織ノイズを選択的に抑制でき、血流のみを表示できる。
本発明により様々な領域における微細血流診断が可能になり、本発明を用いた新知見が世界中で報告されている。本発明は代替法のない技術として医療現場から高く評価されており、医療に貢献している。
図1 体内の動きの性質 | 図2 血流ファントム実験結果 |