令和4年度全国発明表彰 受賞発明・意匠概要(敬称略)
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特許庁長官賞
抗血栓性透析モジュールの発明(特許第6003641号)
上野 良之 | 東レ株式会社 先端材料研究所 医療システム研究室 研究主幹 | |
藤田 雅規 | 東レ株式会社 先端材料研究所 医療システム研究室 主任研究員 | |
菅谷 博之 | 東レ株式会社 先端材料研究所 新エネルギー材料研究室 室長 | |
橋本 和幸 | 東レ・プレシジョン株式会社 トレフィーダ事業開発部 主席部員 | |
寺坂 広行 | 東レ株式会社 HBCグローバル室(瀬田) 主席部員 | |
小金丸 亮 | テクノサーチ株式会社 調査部 主席部員 |
発明実施功績賞
日覺 昭廣 | 東レ株式会社 代表取締役社長 |
本発明は、腎不全患者に使用される透析モジュールに関するものである。透析モジュールには多孔質中空糸膜が内蔵されており、血液から不要物質を除去する透析治療に用いられる。透析モジュールの抗血栓性が低いと、血液凝固や炎症が亢進し、患者の予後悪化に繋がるが、多くの患者は炎症状態にあり、抗血栓性向上が課題であった。
本発明では、炎症の要因が1箇所でもあると、著しく抗血栓性が低下するため、抗血栓性透析モジュールとして、①血液滞留部の抑制、②中空糸膜の内表面(血液接触面)の平滑化、③中空糸膜への血液成分の非付着が全て必要であることを見出した(図1)。
中でも③について、タンパク質周囲の水(吸着水)とポリマー吸着水の運動性が同じであれば、両者が接触しても、付着しないという独自コンセプトにより、新規ポリマーを見出し(図2)、血液成分の付着を大幅に抑制した中空糸膜を創出し、抗血栓性透析モジュールの実用化に至った。
図1 |
図2 |