平成26年度全国発明表彰 受賞技術概要(敬称略)
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21世紀発明賞
高純度銅に匹敵するチタン系粒子を利用した銅合金線の発明(特許第4809934号)
青山 正義 | 日立金属株式会社 電線材料カンパニー 電機材料統括部 技師長 | |
鷲見 亨 | 日立金属株式会社 電線材料カンパニー 電機材料統括部 技術部 | |
酒井 修二 | 元 日立電線株式会社 | |
佐藤 隆裕 | 日立金属株式会社 電線材料カンパニー 電機材料統括部 生産技術部 部長 | |
安部 英則 | 日立金属株式会社 電線材料カンパニー 電機材料統括部 事業企画部 主任技師 |
21世紀発明貢献賞
小西 和幸 | 日立金属株式会社 代表執行役 執行役会長 |
本発明は、銅中の不純物である硫黄を高純度化や機能向上に利用する研究開発思想を実現したものである。
即ち、本発明は、微量の酸素と硫黄を含む汎用銅に、微量のチタンを添加し、連続鋳造圧延条件を制御することにより、溶融銅中の硫黄を数百ナノメートルサイズのチタン系粒子とし、熱間圧延プロセスで固体銅中の硫黄をチタン系粒子に捕捉析出させ、これによって銅中に固溶する硫黄を減少させて銅生地を高純度化し、さらに生成された副産物のチタン系粒子を利用することによって機械的機能に影響を与える銅の結晶粒のサイズや分布を制御したものである。
これにより、本発明では、導電率の低下が少なくかつ高純度銅に匹敵する軟化温度に到達し、かつ伸び・屈曲寿命等の機能を向上させた銅合金線が得られた。
本発明の銅合金線は、音響ケーブルに実用化され、さらに他の特長の耐水素脆化特性、溶接性等にも優れるため、技術進歩に伴う諸問題解決のためのツールとして、情報通信・パワー伝送等の広範囲な分野への利用が期待される。