平成24年度全国発明表彰 受賞技術概要
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文部科学大臣発明賞
白色LEDの演色性を向上させる赤色蛍光体の発明(特許第3837588号)
廣崎 尚登 | 独立行政法人物質・材料研究機構 サイアロンユニット・ユニット長 | |
上田 恭太 | 株式会社三菱化学科学技術研究センター 白色LEDプロジェクト 材料Aグループ・主任研究員 | |
山元 明 | 東京工科大学 名誉教授 |
発明実施功績賞
石塚 博昭 | 三菱化学株式会社 取締役社長 | |
潮田 資勝 | 独立行政法人物質・材料研究機構 理事長 |
本発明は市場が急激に拡大している白色LEDに使用される蛍光体に関する。一般的な白色LEDはパッケージ内のLEDチップ上を蛍光体と樹脂の混合物が覆うような構造をとる(図1)。従来の白色LEDは蛍光体として黄色蛍光体を使用し、LEDチップからの青色光と黄色蛍光体が発する黄色光とが足し合わさって白色光を実現しているが、その白色光は擬似白色と呼ばれ自然光に対してやや青みがかった白色であった。本発明は、これまで蛍光体として使用されたことがなかった窒化物・酸窒化物に着目し、その中で、特定の化学組成(例えば、CaAlSiN3:Euや(Ca,Sr)AlSiN3:Eu)及び構造を有するものが白色LED用赤色蛍光体として優れた特性を有することを見出すことによって完成したものである。この赤色蛍光体(CASN蛍光体。図2)を白色LEDに用いることによって、従来には得られなかった、自然光に近い色を発する白色LEDが可能となった。CASN蛍光体は世界で初めて白色LED用赤色蛍光体として実用化され、照明やLCD用バックライト等の種々の白色LED用途において、より快適で、持続可能な、地球環境にやさしい社会を実現するために貢献している。
図1 | 図2 |