平成24年度全国発明表彰 受賞技術概要
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内閣総理大臣発明賞
垂直磁気記録媒体の発明(特許第4222965号)
棚橋 究 | 株式会社HGSTジャパン 日本研究所 メディア研究部 部長 | |
本田 好範 | 株式会社HGSTジャパン 日本研究所 メディア研究部 薄膜プロセス研究グループ 主任研究員 | |
児玉 峰章 | 株式会社HGSTジャパン ヘッド開発本部 スライダ開発・製造部 スライダプロセスG 技師 | |
荒井 礼子 | 元 株式会社日立製作所 中央研究所 主任研究員 |
発明実施功績賞
堀家 正充 | 株式会社HGSTジャパン 取締役社長 |
垂直記録方式を用いたハードディスク装置(HDD)の実用化には、従来とは構造の異なる磁気ヘッドや媒体の開発が必要であり、それに付随して信頼性確保が大きな課題となった。とりわけ媒体においては、新たに導入された軟磁性下地層(SUL)に起因して、外部磁界耐性、ヘッド浮上性および媒体の耐食性の課題が発生した。これらの課題を克服するため、本発明では、基板からの影響を軽減することを試み、ガラス基板上に、非晶質密着層を介して反強磁性結合(AFC)-SULを形成することを考案した。本発明は、AFC-SUL内の膜応力を低減し、外部磁界耐性を改善するだけでなく、媒体の膜平坦化によるヘッド浮上性向上、更には耐食性改善と、多岐に渡る効果をもたらした。この非晶質密着層とAFC-SULの組合せは、垂直第一世代から現行の製品に至るまで継続的に使われ、垂直HDDの高性能化を信頼性の観点から支えており、今後も使われ続ける基本技術となっている。
図1 本発明の狙い:基板からの影響を低減 | 図2 本発明の効果:外部磁界耐性 |