令和6年度全国発明表彰 受賞発明・意匠概要(敬称略)
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文部科学大臣賞
圧力副室付加による振動エネルギー吸収効率増倍式ビル用制震オイルダンパの発明
(特許第6000872号)
(特許第6000872号)
栗野 治彦 | 鹿島建設株式会社 技術研究所 副所長 |
発明実施功績賞
天野 裕正 | 鹿島建設株式会社 代表取締役社長 |
本発明は、建物の層間に設置して揺れを低減する制震オイルダンパ技術である。2000年に開発された従来技術の減衰係数切替型オイルダンパは、振動エネルギーを取付ブレースや作動油の歪エネルギーとして蓄えては振動の折り返し点で一気に熱に変換することで、減衰係数固定の一般型の約2倍の振動エネルギー吸収効率を発揮するものであったが、東日本大震災を契機にさらに高効率な制震技術のニーズが出現した。
本発明は、振動中に蓄えたエネルギーを新たに設けた圧力副室にいったん移し、それを反対側の油圧室に送り込んでダンパ変形と抵抗力を増大させるアシスト力として再利用する、という新規なエネルギー回生機構により、減衰係数切替型の約2倍(一般型の約4倍)に達する高効率を実現するものである。高い安全性や事業継続性が要求される高層建物の巨大地震・長周期地震動対策に適しており、既存建物の補強においても多くの利点を備えた、安全・安心な高耐震都市の実現に大きく貢献できる技術である。
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図1 建物への取付状況 |
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図2 内部機構概念図 |