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発明協会の表彰事業

令和6年度全国発明表彰 受賞発明・意匠概要(敬称略)
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日本弁理士会会長賞
高精度シリコンがんぎ車を用いて長時間の駆動を可能とした機械式腕時計の発明
(特許第6891622号)
澁谷 宗裕
セイコーエプソン株式会社 マイクロデバイス事業部 TD技術部
舟川 剛夫
セイコーエプソン株式会社 技術開発本部 プロセス技術開発部
永坂 栄一
セイコーエプソン株式会社 ウエアラブル機器事業部 WP設計技術部

発明実施功績賞
小川 恭範
セイコーエプソン株式会社 代表取締役社長

 本発明は、ぜんまいのエネルギーで駆動する機械式腕時計において、時間精度と駆動時間に関わる重要部品「がんぎ車」にシリコンを用いたものである。
 従来の金属製がんぎ車はエネルギー損失が大きく、駆動時間は40~50時間程度であった。また、シリコンを用いたがんぎ車では回転部と中心軸を接着剤で固定していたため偏心があった。
 そこで、本発明は、シリコンのしなる特性を活かした複数のバネ部をMEMS加工にて形成し、バネ部先端で中心軸凸部を押圧し、回転部と軸の中心を一致させた偏心のない構成とした。さらに、回転部先端の一部を中心軸凹部に入れ込み、回転部と中心軸を一体的に回転させるようにした。
 本発明により、軽量なシリコンがんぎ車を接着剤レスで偏心なく回転させることでエネルギー損失が4割程度低減し、時間精度を維持したまま最大70時間駆動できる機械式腕時計を実現した。また、シリコン表面には青色反射膜を形成し、がんぎ車が天の川銀河を感じさせるスタイリッシュな機械式腕時計とすることができた。


図1 本発明の機械式腕時計の仕組み
図2 本発明の機械式腕時計に搭載したシリコンがんぎ車の詳細


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