令和5年度全国発明表彰 受賞発明・意匠概要(敬称略)
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文部科学大臣賞
剥離しないように薬剤塗布された冠動脈ステントの発明(特許第5570515号)
丸山 和宏 | テルモ株式会社 カテーテル開発部研究開発課 研究員 | |
齊藤 昇 | 元 テルモ株式会社 心臓血管カンパニーTIS事業R&D部 エグゼクティブアドバイザー | |
後藤 大樹 | 元 テルモ株式会社 CTO OfficeR&D戦略G グループ長 |
発明実施功績賞
佐藤 慎次郎 | テルモ株式会社 代表取締役社長CEO |
本発明は、医療機器である薬剤溶出型冠動脈ステントに関するものである。このステントはミリメートル級の筒状の金網で、細胞増殖を抑える薬剤コートがされている。心臓の周りに沿う冠動脈が狭くなると狭心症や心筋梗塞になる。治療には、狭窄した血管部にステントを拡げて内側から支えるとともに、薬剤で再狭窄を抑える。
従来の製品は、ステント全体に薬剤コートを設けていた。ステントを折りたたんだ状態から拡げるとき、ステントの網目のカーブや交差点部で大きなひずみが発生し、このひずみに薬剤コートが追従できずに亀裂や剥離が生じていた。このコート層のかけらが末梢に流れ、血管を詰まらせることが懸念された。
本発明では、血管に接する外表面だけに薬剤コートを塗布し、かつ薬剤コートの厚さをステントのカーブや交差点部に向かって、徐々に薄くした漸減部を設けている。これにより薬剤コートの亀裂や剥離を防ぐことができる。
冠動脈へのステント留置 | 薬剤コートの漸減部 |