令和5年度全国発明表彰 受賞発明・意匠概要(敬称略)
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経済産業大臣賞
自動車の燃費と衝突安全性を向上する超高強度薄鋼板の発明(特許第6388085号)
吉岡 真平 | JFEスチール株式会社 スチール研究所 薄板加工技術研究部 主任研究員 | |
小野 義彦 | JFEスチール株式会社 知的財産部 知財技術室 主任部員 | |
飛鷹 健太 | JFEスチール株式会社 西日本製鉄所 薄板商品技術部 自動車室 主任部員 | |
山口 竜介 | JFEスチール株式会社 西日本製鉄所 薄板商品技術部 自動車室 主任部員 |
発明実施功績賞
北野 嘉久 | JFEスチール株式会社 代表取締役社長(CEO) |
本発明は、引張強さが1320MPa以上の超高強度でありながら耐遅れ破壊特性(※)を飛躍的に高めた自動車用鋼板に関するものである。
当社独自の水焼入れ方式を適用した連続焼鈍プロセスによる超急速冷却技術を駆使し、遅れ破壊に悪影響を及ぼす合金元素を低減しつつ金属組織の均一性を極限まで高めることに成功した。これにより耐遅れ破壊特性を実用可能なレベルに引き上げ、安価で広く普及している冷間プレス工法で超高強度部品を実現した。1470MPa級鋼板の場合、現在主流である980MPa級鋼板と等価の衝突性能を維持しつつ板厚を薄くできるため、20%以上の軽量化が実現可能となる(図1)。本発明の鋼板は図2に示した主要な骨格部品の多くに適用が可能と考えられ、今後主流となって車の燃費向上による環境負荷低減と衝突安全性の向上に寄与するものと期待される。
※耐遅れ破壊特性:水素に起因するプレス成形後の静的な脆性割れを発生しにくくする性質。
図1 モデル部品を用いた自動車衝突模擬試験 | 図2 本発明鋼板の適用可能部品例 |