令和4年度全国発明表彰 受賞発明・意匠概要(敬称略)
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内閣総理大臣賞
急速充電を可能とする800V車載インバータ用絶縁樹脂構造の発明(特許第6200871号)
露野 円丈 | 株式会社日立製作所 サステナビリティ研究統括本部 生産・モノづくりイノベーションセンタ 材料プロセス研究部 主任研究員 | |
楠川 順平 | 株式会社日立製作所 サステナビリティ研究統括本部 生産・モノづくりイノベーションセンタ 材料プロセス研究部 主任研究員 | |
徳山 健 | 株式会社日立製作所 サステナビリティ研究統括本部 電動化イノベーションセンタ モビリティドライブ研究部 リーダ主任研究員 | |
諏訪 時人 | 日立Astemo株式会社 財務統括本部 業績管理本部 グローバルコストプランニング部 |
発明実施功績賞
ブリス・コッホ | 日立Astemo株式会社 プレジデント&CEO |
本発明は、電気自動車(EV)向けインバータに用いられるパワーモジュールの、高い絶縁耐圧性能と冷却性能を両立させた絶縁樹脂構造に関するものである。
車載インバータにおいて、EVによる快適な加速性能と充電時間の短縮に有効な高電圧化が注目されており、世界の各社が400Vから800Vへの高電圧化の検討を進めている。しかし、これにはインバータに用いられるパワーモジュール内の絶縁構造を厚くする必要があり冷却性能が低下する課題があった。
本発明は、絶縁樹脂構造の中央に浮遊導体である中間導体を内蔵することで、絶縁樹脂に加わる電圧を分割して低電圧化し、絶縁構造を厚くすることなく絶縁耐圧性能の向上を可能とした。
本発明により、EVの充電時間半減および快適な加速を両立する800V対応車載インバータの開発・量産化を世界に先駆けて実現した。800V対応のEV充電規格が早期導入された欧州に続き、今後は日本国内を含むその他の地域にも展開が見込まれ、電動化による環境対応車の普及拡大に貢献するものである。
図1 | 開発した800V車載インバータ(左) および両面冷却パワーモジュール(右) |
図2 | パワーモジュールの従来構造と本発明との断面比較模式図 |