令和2年度全国発明表彰 受賞発明・意匠概要(敬称略)
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日本経済団体連合会会長賞
誘導加熱を利用したエアコンの冷媒液化防止技術の発明(特許第4931970号)
畠山 和徳 | 三菱電機株式会社 住環境研究開発センター 電機技術開発部 駆動デバイス開発グループ 専任 | |
坂廼邉 和憲 | 三菱電機株式会社 冷熱システム製作所 制御機器技術部 主管技師長 | |
松下 真也 | 三菱電機株式会社 静岡製作所 電子制御システム部 インバータ技術第二課 専任 | |
牧野 勉 | 三菱電機メカトロニクスソフトウエア株式会社 静岡支所 機器開発部 監事 |
発明実施功績賞
杉山 武史 | 三菱電機株式会社 執行役社長 |
本発明は、エアコンの心臓部である圧縮機の機械的故障予防を目的とし、故障の原因となる圧縮機内部の冷媒液化を防止する加熱技術に関するものである(図1)。
エアコンは停止中に圧縮機内部の冷媒が液化する場合があり、再起動の際に機械的故障を招く一因となっていた。従来はヒータの追加設置か、圧縮機モータに直流電流を印加する等の対策があったが、省資源と省エネルギーの両立は困難であった。
本発明は、インバータの各スイッチング素子1回の動作で正と負の両電圧を出力し、16kHz以上の誘導加熱電流を圧縮機モータに流すことで、圧縮機の機械的ストレスを低減しつつ、ヒータの追加設置が不要かつ低電流で圧縮機を加熱する制御方法(図2)と、圧縮機モータの通電位相を切り替え、加熱量のバラツキを低減する制御方法を見い出し、省資源と省エネルギーの両立を実現した。
本発明は2013年より世界各国のエアコンに採用され、省エネルギー化で国際社会に貢献している。
図1 エアコンの構成と本発明の概要 |
図2 本発明の誘導加熱を実現するインバータの制御方法 |