令和2年度全国発明表彰 受賞発明・意匠概要(敬称略)
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発明協会会長賞
漏洩磁束法による鋼板の微小凹凸欠陥計測装置の発明(特許第5186837号)
腰原 敬弘 | JFEスチール株式会社 スチール研究所 研究企画部 主任部員 | |
加藤 宏晴 | JFEアドバンテック株式会社 海洋・河川事業部 技術部長 | |
長棟 章生 | 元 JFEスチール株式会社 スチール研究所 主席研究員 |
発明実施功績賞
北野 嘉久 | JFEスチール株式会社 代表取締役社長(CEO) |
本発明は、鋼板の微小凹凸欠陥の自動検出技術に関するものである。この欠陥は数μmの凹凸で、鋼板の表面粗さと同等のため、鋼板のままでは見えない。しかし、自動車用の塗装が施され表面が滑らかになると欠陥が顕在化して問題となるため、鋼板製造時の検査が必要である。従来は、鋼板表面を平滑にするために砥石掛けを行った後に目視検査をしていたが、生産性向上のためには自動検査が要望されていた。
本発明では、製造ラインのロールに付着した異物が転写して発生するというこの欠陥のメカニズムに着目し、欠陥部には歪(ひずみ)が生じていると考えた。この歪に対応した物理量は、鋼板の磁気特性であることを突き止め、漏洩磁束法により微小凹凸欠陥の自動検出に成功した。
本発明により、鋼板製造中の微小凹凸欠陥検査の自動化を実現し、自動車用鋼板の安定製造に寄与するとともに、人手検査を省略することで生産性向上を達成した。