平成30年度全国発明表彰 受賞発明・意匠概要(敬称略)
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経済産業大臣賞
摩耗耐久性に優れた人工股関節の発明(特許第4963838号)
京本 政之 | 京セラ株式会社 研究開発本部 メディカル開発センター 課責任者 | |
茂呂 徹 | 国立大学法人東京大学 大学院医学系研究科 関節機能再建学講座 特任准教授 | |
石原 一彦 | 国立大学法人東京大学 大学院工学系研究科 マテリアル工学専攻 教授 | |
金野 智浩 | 国立大学法人東京大学 大学院工学系研究科 バイオエンジニアリング専攻 特任准教授 | |
中村 耕三 | 国立大学法人東京大学 名誉教授 | |
髙取 吉雄 | 独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO) 湯河原病院 院長 | |
川口 浩 | 独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO) 東京新宿メディカルセンター 脊椎脊髄センター センター長 | |
髙玉 博朗 | 学校法人 中部大学 生命健康科学部 生命医科学科 准教授 | |
近藤 誠 | 京セラ株式会社 メディカル事業部 第3製造部 部副責任者 |
発明実施功績賞
谷本 秀夫 | 京セラ株式会社 代表取締役社長 |
本発明は、合成リン脂質ポリマーであるMPCポリマーによる水和潤滑表面ゲル層を、ポリエチレン(PE)表面に形成させ、人工股関節の摩耗耐久性を向上させる技術に関するものである。
人工股関節は痛みを取り除き歩行能力を回復させる優れた手術であるが、PEの摩耗粉が引き起こす合併症はその耐用年数を制限する大きな課題であった。
我々は、生体関節軟骨の構造、機能に着目し、親水性ポリマーを用いて生体軟骨を模倣した水和ゲル層をPE表面に創成することを着想した。具体的には、光開始グラフト重合法によりPE表面にMPCポリマーのグラフト層をナノメートル単位で形成させた。鋭意研究の結果、長期にわたり摩耗耐久性を維持するには、MPCポリマーのグラフト鎖密度が重要であることを見出し、本発明に至った。
本発明は長寿命型人工股関節に用いる表面処理技術「Aquala®」(アクアラ)として臨床の現場に届けられ、多くの患者に使用されている。