平成29年度全国発明表彰 受賞発明・意匠概要(敬称略)
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日本経済団体連合会会長賞
傾斜構造を有する垂直磁気記録ヘッドの発明(特許第3740361号)
望月 正文 | 株式会社HGSTジャパン Product Recording Integration Group, テクノロジスト | |
髙野 公史 | 株式会社HGSTジャパン 代表取締役 | |
西田 靖孝 | 株式会社HGSTジャパン Enterprise HDD PMO プログラムマネージャー | |
岡田 智弘 | 日立オートモティブシステムズ株式会社 技術開発本部 材料技術開発部 主管技師 |
IoT(Internet of Things)社会のストレージの主役である垂直磁気記録方式を用いたハードディスクドライブ(HDD ; Hard Disk Drive)では、高記録密度化のために磁気ヘッドの縮小化が必須であり、記録磁界強度が減少してしまうという課題に直面していた。一方で、高記録密度化に適した磁気ディスクに記録するには、記録磁界強度の更なる増加が必要とされていた。
これらの課題を克服するために、磁気ヘッドの磁束を飽和させるための絞り込み部分よりも磁気ディスク側にある主磁極先端部の飽和部分に、傾斜を設けた構造を発明した(図1)。これにより、記録磁界強度の増加と磁界分布の狭小化との両立を達成し(図2)、HDDの高記録密度化を実現した。
本発明の構造は、自社製品のみならず、世界中の全てのHDDに適用され、業界標準に至っている。更に、本発明は、次世代の記録方式にも有効であり、IoT社会のストレージを長期的に支える必須技術である。