平成29年度全国発明表彰 受賞発明・意匠概要(敬称略)
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特許庁長官賞
レーザ穴開け加工精度を向上させる形状可変ミラーの発明(特許第4552848号)
小林 信高 | 三菱電機株式会社 名古屋製作所 レーザ製造部 マイクロ加工機設計課 専任 | |
竹野 祥瑞 | 三菱電機株式会社 設計システム技術センター センター長 |
発明実施功績賞
柵山 正樹 | 三菱電機株式会社 執行役社長 |
スマートフォン等に内蔵されるプリント基板は多層構造で、各層はレーザで加工されたφ50μm程度の微細穴で電気的に繋がっている。基板実装の高密度化による穴数の急増に対応するため、加工速度が従来比1.6倍の高速レーザ加工機を開発したが、レーザビームの歪みによる加工穴の品質低下が課題となっていた。
そこで、光路中のミラーを変形させ、レーザビームの歪みを修正することにした。加工点のビーム形状が楕円になることに着目し、両端でピッチの異なるネジ1本を回すだけで、反射面を鞍型に変形させる簡便な構造のミラーを考案した(図1)。ネジの回転により、ミラー裏面のX方向両端に正、Y方向両端に負の荷重が発生し、X方向は凹、Y方向は凸に変形する。これにより、ビーム形状を円形に修正することができる(図2)。
本発明により、加工穴の品質確保に成功し、高速レーザ加工機の実用化を達成した。その結果、高密度実装基板の製造を支え、スマートフォンの爆発的普及やその他電子機器の量産に大きく貢献することができた。
図1 本発明の形状可変ミラー構造 | 図2 変形形態(鞍型)と改善効果 |