平成29年度全国発明表彰 受賞発明・意匠概要(敬称略)
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朝日新聞社賞
回転電機の偏心推定方法と偏心推定システムの発明(特許第5592688号)
出口 学 | 三菱電機株式会社 中津川製作所 住宅用換気送風機製造部 モータ技術課 課長 | |
吉桑 義雄 | 三菱電機株式会社 先端技術総合研究所 自律制御システム開発プロジェクトグループ 自動運転システムグループ グループマネージャ | |
米谷 晴之 | 三菱電機株式会社 先端技術総合研究所 電機システム技術部 動力推進モータ技術グループ 主席技師長 | |
宮本 佳典 | 三菱電機株式会社 コンポーネント製造技術センター モータ製造技術製造部 部長 | |
亀山 正樹 | 三菱電機株式会社 中津川製作所 住宅用換気送風機製造部 モータ技術課 専任 | |
水谷 敏彦 | 三菱電機株式会社 中津川製作所 製造管理部 製造技術課 専任 |
発明実施功績賞
柵山 正樹 | 三菱電機株式会社 執行役社長 |
回転電機(モータ)の総電力量は国内消費電力の約1/2を占めるといわれており、モータの高効率化は極めて重要である。モータの高効率化には回転子と固定子の間の空隙長短縮が効果的であるが、偏心(軸ずれ)による騒音の低減が課題となっていた。
本発明では、まずモータの構成要素である巻線を偏心推定センサとして活用する方法を考案した。偏心がない状態では対向する巻線の電圧は等しいが、偏心があると電圧が変化することを実測と理論展開により証明し、偏心率を高精度に推定できることを見出した。さらに各巻線に異なる周波数の電圧を印加して偏心方向を短時間で推定する方法を考案した(図1)。本技術により、偏心状況をフィードバックした製造が可能となり、偏心がほぼゼロのモータ量産化を実現した。
本技術はまず換気扇用モータに適用され、空隙長を従来技術の限界0.3mmから0.15mmに短縮し、モータ効率は3%向上、体積は15%低減した(図2)。なお、偏心量は約1μm以下であり、低騒音化を実現している。
図1 本発明による偏心推定技術 | 図2 本発明を適用したモータ |