平成27年度全国発明表彰 受賞発明・意匠概要(敬称略)
(第一表彰区分一覧へ/第二表彰区分一覧へ)
21世紀発明賞
非順序型データベースエンジンの発明(特許第4611830号)
喜連川 優 | 国立大学法人東京大学 生産技術研究所 教授 国立情報学研究所 所長 | |
合田 和生 | 国立大学法人東京大学 生産技術研究所 特任准教授 |
本発明は、大規模データベース(ビッグデータ)の管理・処理を担う基盤ソフトウェア(データベースエンジン)の高速化に関するものである。
発明者の考案した非順序型実行方式は、データベースが格納されているストレージに対して非同期的に入出力を発行し、即ち、既に発行した入出力の完了を待たずに入出力を次々と発行する点に特徴を有する。
従来型のデータベースエンジンにおいては、同期入出力方式が採用され、限られた数の入出力が同時に発行されるのに対して、本発明に於いては、実行論理の許す限りにおいて、圧倒的に多数の入出力がストレージに発行されることとなり、入出力スループットが飛躍的に向上する。とりわけ、ビッグデータを対象とする精緻な解析処理に対して著しい高速化のポテンシャルを備えており、発明者は大規模環境に於いて従来技術比で1,000倍を超える高速性を実証することに成功している。
本発明によってビッグデータに対する高いレスポンス性能が提供可能となり、従前にはない革新的なビッグデータ応用サービスが次々と生み出されると考えられ、当該サービスを通じて社会・経済に広く貢献できるものと期待している。
図1 ビッグデータ時代 |
図2 従来型のデータベースエンジン(左)と非順序型データベースエンジン(右) |