平成25年度全国発明表彰 受賞技術概要(敬称略)
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日本経済団体連合会会長発明賞
オゾン法化学除染技術の発明(特許第3849925号)
矢板 由美 | 株式会社東芝 電力システム社 電力・社会システム技術開発センター 化学システム・プロセス開発部 主査 | |
小田嶋 正見 | 元 株式会社東芝 | |
斎藤 宣久 | 元 株式会社東芝 | |
青井 洋美 | 株式会社東芝 電力システム社 原子力事業部 原子力化学システム設計部 主査 | |
稲見 一郎 | 東芝原子力エンジニアリングサービス株式会社 軽水炉技術部 参事 | |
酒井 仁志 | 株式会社東芝 電力システム社 原子力事業部 原子力化学システム設計部 主査 | |
平良木 哲 | ES東芝エンジニアリング株式会社 技術部 プラント技術グループ 主任 | |
高松 義成 | ES東芝エンジニアリング株式会社 技術部 プラント技術グループ 副主任 |
発明実施功績賞
佐々木 則夫 | 株式会社東芝 代表執行役社長 |
原子力発電所の高温の原子炉水に接する金属製の配管・機器等の内表面には放射性物質(汚染)を含む金属酸化物が付着し高線量率となっている。化学除染は、汚染を金属酸化物ごと化学的に溶解し、イオン交換樹脂に捕集することで、金属表面の線量率を低減する技術である。
本発明は、除染剤として分解可能な酸化剤のオゾンと還元剤のシュウ酸を組合せ、繰り返し使用すること、また助剤を最適化したことを特徴とする。分解可能な薬剤を用いることで、除染剤に起因した放射性廃棄物量を低減可能である。また、酸化時にリン酸などの極少量の助剤を添加することで、高温でのオゾン酸化処理を実現し、効率的に金属酸化物を溶解することが可能となった。
本発明により、高い除染性能と材料の健全性を維持しつつ、放射性廃棄物量を更に低減することが可能となった。本技術はこれまで国内の原子力発電所に対し80回以上の適用実績を有し、作業者の被ばく低減に大きく貢献している。
図1 オゾン法化学除染の原理 | 図2 オゾンによる酸化クロム溶解の温度依存性と オゾン除染による金属酸化物除去効果 |