平成25年度全国発明表彰 受賞技術概要(敬称略)
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発明協会会長賞
生体分子の動きも観られる高速原子間力顕微鏡の発明(特許第4083517号)
安藤 敏夫 | 金沢大学 理工研究域数物科学系・教授 金沢大学理工研究域バイオAFM先端研究センター長 | |
酒井 信明 | オリンパス株式会社 研究開発センター |
発明実施功績賞
中村 信一 | 国立大学法人金沢大学長 | |
笹 宏行 | オリンパス株式会社 代表取締役社長執行役員 |
生体分子、とりわけタンパク質は我々の生命活動を支える最も重要な分子であり、その働く仕組みの理解は生命現象の理解に必須である。「百聞は一見に如かず」。数ナノメータのタンパク質分子が働いている様子を手に取るように観ることができれば、理解はずっと早まるに違いない。そこで、「高速原子間力顕微鏡」の開発を20年前に思い立ち、10年以上に亘り様々な技術を開発した結果、従来よりも千倍速くすることができた。しかし、脆いタンパク質は直ぐに壊れてしまう。2年ほど悩んだ挙句、良いアイデアが閃いた。この困難な問題が解決された結果、分子を傷付けることなく、それが働いている様子を直接観ることができるようになった。例えば、細胞内で荷物を運ぶミオシンVがアクチン線維上を歩いて一方向に進んでいく様子などを観ることができた。分子映像から従来の常識を覆す新しい発見が次々と生まれている。こうして、生命科学にひとつの大躍進が達成された。
図1 高速AFMが捉えた歩くミオシンV | 図2 高速AFM装置 |