平成25年度全国発明表彰 受賞技術概要(敬称略)
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日本弁理士会会長賞
個性豊かで自然な歌唱音声合成技術の発明(特許第4153220号)
劔持 秀紀 | ヤマハ株式会社 yamaha+推進室 VOCALOIDプロジェクト リーダー | |
ジョルディ ボナダ | ポンペウ ファブラ 大学 |
発明実施功績賞
梅村 充 | ヤマハ株式会社 代表取締役社長 |
音声合成技術の開発は従来からなされているが、歌唱音声においては、より人間の歌声に近い自然な音声合成技術が求められていた。
本発明においては、合成音声の自然さに重要な部分を占める音韻と音韻の間の遷移部分と、伸ばし音部分とからなる音声素片データに対し、遷移部分では音声素片データをそのまま、伸ばし音部分では、読み出した音声素片データの変動成分に対しその前後2つの遷移部分のスペクトル包絡を補間したデータを加算した上で、遷移部分と伸ばし音部分を順番に接続する。この結果、元となった人間の声質の特徴が遷移部分には十分反映され、伸ばし音部分にもその音声の特徴が表れ、不自然さは生じない。
この発明により、歌い手が実在するかのようなリアリティのある自然な歌唱合成が実現でき、歌唱音声に個性を与えた。本発明は、楽器を演奏しない個人ユーザに対し作曲への門戸を開くとともに、これを用いて制作された楽曲を聴いて楽しむという新たな音楽文化を確立した。
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