平成25年度全国発明表彰 受賞技術概要(敬称略)
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朝日新聞発明賞
温度安定性の良い携帯電話用弾性波フィルター素子の発明(特許第3841053号)
門田 道雄 | 国立大学法人 東北大学 マイクロシステム融合研究開発センター 最先端研究開発部門 客員教授 工学博士 | |
中尾 武志 | 株式会社 村田製作所 通信事業本部技術統括部 薄膜技術部 開発4課 係長 | |
西山 健次 | 株式会社 村田製作所 コンポーネント事業本部 EMI事業部第1商品開発部 開発3課 主任 |
発明実施功績賞
村田 恒夫 | 株式会社村田製作所 代表取締役社長 |
温度特性改善策として厚いAl電極/圧電基板にSiO2膜を形成したときの弾性表面波共振子やラダー型デュプレクサ特性劣化の原因がAl電極に起因したSiO2膜上の凸が原因であることを解明した。その対策として凸を除去しSiO2膜を平坦化することを試みた。しかし良好な特性は得られず、その原因がAl電極での反射が不足していることを明らかにした。その対策としてさらに図1(c)~(e)に示すAuやCu等の高密度電極を用いることを検討した。その結果、図1(e)のように、平坦化SiO2膜/高密度電極/基板の組み合わせで最も良好な共振子特性を実現した。
図2(a)、図2(b)に (旧)従来のAl電極/LiNbO3構造と (新)本開発のデュプレクサ(受信側)の-30、+25、+85℃における周波数特性を示す。図2(a)、図 2(b)において、/////は全使用温度での挿入損失を示している。図より明らかなように、本開発品は従来に比べ温度変化に対し1/4から1/8の周波数変化と、挿入損失の変化の少ない良好な特性を示し、従来不可能とされてきた弾性表面波デュプレクサへの適用を可能にした。形状も従来の誘電体デュプレクサに比べ約1/40の2.5×2×0.55mmまで小型化することができた。
図1 | 図2(a) | 図2(b) |