平成23年度全国発明表彰 受賞技術概要
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文部科学大臣発明賞
画像保存安定性に優れるインクジェットインクの発明(特許第3949385号)
立石 桂一 | 富士フイルム株式会社 R&D統括本部 有機合成化学研究所 主任研究員 | |
野呂 正樹 | 富士フイルム株式会社 R&D統括本部 有機合成化学研究所 主任研究員 | |
矢吹 嘉治 | 富士フイルム株式会社 R&D統括本部 有機合成化学研究所 主席研究員 | |
大松 禎 | 富士フイルム株式会社 R&D統括本部 先端コア技術研究所 研究員 |
発明実施功績賞
古森 重隆 | 富士フイルム株式会社 代表取締役社長・CEO |
インクジェットプリンティング技術の進歩に伴い、高画質のカラープリントが手軽に得られるホームプリント時代を迎えようとしていた時期、シアン画像が大気中に存在するオゾンによって極めて短期間に褪色し、画像がオレンジ色に変色するという問題が発生した。
本発明は、フタロシアニン骨格をベースに、オゾンによる褪色を褪色機構の解明に基づくシアン染料の巧みな分子設計により抑制し、耐オゾン性を30倍に高めた技術に関するものである。本技術は市販のインクジェットプリンターに搭載され、ホームプリントの普及に弾みをつけた。
本分子設計のコンセプト(酸化電位向上、会合促進、低反応性置換基選択)は、高耐久性のイエロー、マゼンタ、およびブラック染料の開発へも応用され、商業的な写真プリント(お店プリント)、すなわち銀塩写真に迫る画質と耐久性を兼備し、かつ環境にやさしいインクジェット方式のプリントサービスという新しい業態の創出を可能にした。
図2 受賞技術のインクと従来のインクの耐オゾン性強制試験結果(左)
お店プリントに使われる、業務用インクジェットプリンター(右)