1. ホーム >
  2. 発明協会の表彰事業 >
  3. 全国発明表彰 >
  4. 受賞者の発表 >
  5. 受賞技術概要

発明協会の表彰事業

平成23年度全国発明表彰 受賞技術概要
第一表彰区分一覧へ第二表彰区分一覧へ

21世紀発明奨励賞
遺伝子導入用スーパーアグロバクテリウムの発明(特許第4534034号)

江面  浩
筑波大学 生命環境科学研究科・遺伝子実験センター・教授
野中 聡子
筑波大学 生命環境科学研究科・遺伝子実験センター・助教
南澤  究
東北大学 大学院生命科学研究科・教授
菅原 雅之
ミネソタ州立大学 バイオテクノロジー研究科・博士研究員


21世紀発明貢献賞

山田 信博
国立大学法人筑波大学 学長


 モデル植物を用いた基礎研究成果を有用植物に展開していくことは、人類が直面する問題を解決するのに有効である。しかしながら、多様な有用植物への形質転換技術がないことが障壁になっている。
 本発明は、この障壁を打破するために、高効率な形質転換能力を持つアグロバクテリウム(スーパーアグロバクテリウム)を開発した。本発明の特徴は、形質転換の際に植物から発生し、形質転換を抑制するエチレンに着目した点にある。
 スーパーアグロバクテリウムは、新規な有用植物の形質転換系の構築をより容易にすると期待される。例えば、エネルギー作物への形質転換系の構築に利用できる。バイオマスエネルギーの実用化に向けて問題になっているのが、エネルギーを抽出するコストである。これを解決する方法の1つとして、リグニン分解酵素遺伝子などを形質転換することがあるが、高効率形質転換系が構築されておらず、実用に向けての障壁の1つとなっている。従って、スーパーアグロバクテリウムがこの障壁を打破し、エネルギー植物の実用化に貢献すると期待できる。


図1 本発明の基本戦略

植物から発生するエチレンが形質転換を抑制する。本発明では、エチレン前駆物質であるACCを分解する酵素(ACCデアミナーゼ、Pseudomonasu sp. 由来)の活性をアグロバクテリウムへ付与して(スーパーアグロバクテリウム)植物からのエチレン発生を抑制し、形質転換を促進する。



図2 メロンによる効果の事例

アグロバクテリウムへのACCデアミナーゼ活性付与はエチレン発生を抑制し、形質転換効率を促進した。GUS遺伝子を形質転換しその効率はGUS活性を指標に調べた。