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発明協会の表彰事業

令和7年度全国発明表彰 受賞発明・意匠概要(敬称略)
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文部科学大臣賞
ダイオードとIGBTを一体化した超低損失な素子構造の発明(特許第5919121号)
山下 侑佑
株式会社豊田中央研究所 半導体デバイス研究領域 主任研究員
町田  悟
株式会社豊田中央研究所 量子デバイス研究領域 主任研究員
杉山 隆英
株式会社豊田中央研究所 総合企画部 主席研究員
斎藤  順
株式会社デンソー 主幹(株式会社ミライズテクノロジーズ 出向)

発明実施功績賞
林 新之助
株式会社デンソー 代表取締役社長
志満津 孝
株式会社豊田中央研究所 代表取締役 所長兼CRO

 本発明は、ダイオード動作時の電荷注入を抑制する素子構造に関するもので、ダイオードと絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)の損失を両立して一体化(図1)を実現するものである。
 従来の一体型IGBTでは、ダイオードのスイッチング損失低減のため(電荷を消滅させるため)のライフタイム制御が、IGBT損失増加を招くという技術的課題があった。本発明は、バリア層と表面(アノード)電極をピラー層で短絡し、バリア層と表面電極をほぼ同電位とすることでダイオード動作時に表面から注入される電荷量を抑制した。これによりライフタイム制御を不要とし、一体型IGBTのダイオードとIGBTの損失を両立した。
 また本発明は、特殊なライフタイム制御工程が不要なため生産性向上にも寄与する。成長する電動車及び電動ユニットの価値向上に貢献する技術であり、採用製品は既に世界累計100万台超の電動車へ搭載するとともに、一体型IGBTの可能性を広げ、カーボンニュートラル社会の実現にも貢献している。


図1 ダイオード一体型IGBTの概念図

図2 本発明(SMA構造)の模式図


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