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発明協会の表彰事業

令和6年度全国発明表彰 受賞発明・意匠概要(敬称略)
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WIPO賞
高透水性・高除去性・耐薬品性を有する長寿命逆浸透膜の発明(特許第6032011号)
高谷 清彦
東レ株式会社 地球環境研究所 研究員
木村 将弘
東レ株式会社 常任理事
佐々木 崇夫
東レ株式会社 メンブレン技術部 主幹
中辻 宏治
東レ株式会社 水処理技術部 主席部員
志村 晴季
東レ株式会社 水処理技術部 主任部員

発明実施功績賞
大矢 光雄
東レ株式会社 代表取締役社長 社長執行役員

 本発明は、高い透水性と除去性に加え、高い耐薬品性を兼ね備えた逆浸透(RO; Reverse Osmosis)膜に関するものである。
 従来、廃水処理などに用いられるRO膜は、塩などを除去し、水を選択的に透過させる性質を有するが、膜表面に付着した汚れを取り除くための薬品洗浄(酸・アルカリ)によって構造が劣化し、得られる水の水質が低下する課題があった。
 水を選択的に通す孔構造の安定化には、膜の荷電性に由来する荷電反発の制御が重要であるとの仮説をもとに、ナノメートル(10億分の1メートル)よりも小さい孔構造を形成する製膜プロセスの精密制御に取り組み、膜の耐薬品性向上を実現した。この技術により、工場廃水からの水の再利用や水質が良くない地域での農業用水・飲料水製造において、高品質の水を安定供給できる、高性能かつ高寿命な逆浸透膜が得られた。
 本発明の逆浸透膜は、世界100カ国以上で使用され、安全で安心な水の提供に貢献している。


図1 逆浸透膜エレメントと膜処理プロセス例

図2 耐薬品性(酸・アルカリ)試験結果


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