令和5年度全国発明表彰 受賞発明・意匠概要(敬称略)
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朝日新聞社賞
加熱炉を使わない鋼材の焼鈍方法の発明(特許第5088633号)
片岡 仁 | 株式会社プロテリアル 安来工場 熱処理技術部 熱処理技術グループ長 | |
江口 弘孝 | 株式会社プロテリアル 安来工場 技術部 主任技師 |
発明実施功績賞
Sean M. Stack | 株式会社プロテリアル 代表取締役 会長執行役員 兼 社長執行役員 CEO |
本発明は、焼入れ性の高い(パーライトノーズの変態完了点が30分以上)合金組成を有する半製品鋼材の製造方法において、前工程熱間加工と、次工程熱間加工と、これら両熱間加工の間に行う中間焼鈍の手法に効果的な変更を加えたものである。
すなわち、上記の中間焼鈍において、前工程熱間加工が終了した後の半製品鋼材を保温槽に入材することで、当該半製品鋼材を復熱させるとともに、半製品鋼材がパーライト変態するときに生じる変態潜熱(半製品鋼材の自己発熱)を利用してパーライトノーズの変態完了点±20℃の温度範囲内に30分以上保温し、パーライト変態させて中間焼鈍を完了させるものである。そして、上記の保温槽が、加熱源を有さず、例えば、箱状や蓋状の内部に断熱材を設けて密閉空間を構成するものである。
本発明によれば、上記の中間焼鈍に加熱炉を用いる必要がないので、安全であり、かつ、焼鈍に関する省エネルギー化にも貢献できるものである。
図1 熱処理工程の比較 |
図2 保温槽を用いた焼鈍作業(半製品鋼材を保温槽に入材するだけ) |