令和3年度全国発明表彰 受賞発明・意匠概要(敬称略)
(第一表彰区分一覧へ/第二表彰区分一覧へ)
日本経済団体連合会会長賞
船舶の安全性を高めた溶接構造体の発明(特許第5395985号)
半田 恒久 | JFEスチール株式会社 スチール研究所 接合・強度研究部 主任研究員 | |
伊木 聡 | JFEスチール株式会社 スチール研究所 接合・強度研究部長 | |
豊田 昌信 | 日本シップヤード株式会社 営業本部 商品企画部 新技術開発グループ長 | |
木治 昇 | ジャパン マリンユナイテッド株式会社 商船・海洋・エンジニアリング事業本部 生産センター 生産イノベーショングループ長 | |
猪瀬 幸太郎 | 株式会社IHI 技術開発本部 技術基盤センター 主幹研究員 | |
武田 尚 | 日本シップヤード株式会社 設計本部 基本設計部 構造グループ 専任課長 | |
潮海 弘資 | 元 JFEテクノリサーチ株式会社 営業本部 営業企画部 営業技監 | |
遠藤 茂 | JFEテクノリサーチ株式会社 構造材料ソリューション本部 本部長 |
発明実施功績賞
北野 嘉久 | JFEスチール株式会社 代表取締役社長(CEO) | |
千葉 光太郎 | ジャパン マリンユナイテッド株式会社 代表取締役社長(CEO) |
本発明は、欠陥等から発生して高速伝播するき裂(以下、ぜい性き裂)の伝播を、溶接材料、施工・設計の組合せにより停止させ、船体の破壊を防止する溶接構造体である。
従来は、安全性確保に特別に粘り強い高性能鋼板を適用しており、鋼板製造に高い技術が求められていた。本発明では、①ぜい性き裂が突入する部位を微小なギャップを設けたすみ肉溶接構造とし、②溶接脚長を調整して溶接金属部へのき裂突入幅を抑制し、かつ③鋼板板厚に応じて溶接金属のじん性を調整することにより、発生・伝播してきたぜい性き裂を高性能鋼板の適用なしに溶接金属部で停止させることを可能にした。
本発明により、従来よりも厚く、より高強度な鋼板をコンテナ船に適用可能とし、船体上部を強くできることにより船全体の軽量化が可能になり、燃費の向上を実現する。溶接性に特化した高強度鋼板の適用も可能となり、高能率溶接により建造コストの削減にも貢献している。
図1 本発明の適用部位 | 図2 本発明の技術思想(図1(C)位置) |