令和元年度全国発明表彰 受賞発明・意匠概要(敬称略)
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特許庁長官賞
重ね鋼板のレーザー溶接方法の発明(特許第5902400号)
小倉 修平 | トヨタ自動車株式会社 MS車体生技部 ボデー技術統括室 室長 | |
川喜田 篤史 | 中央発條株式会社 技術部 主査 兼 開発部 主査 兼 技術管理部 主査 | |
油井 俊樹 | 浜松ホトニクス株式会社 電子管事業部 電子管技術部 電子管設計第4グループ |
発明実施功績賞
豊田 章男 | トヨタ自動車株式会社 代表取締役社長 |
従来の自動車の車体溶接技術として主流だった抵抗スポット溶接では、隣接する溶接点へ溶接電流の分流が生じるため、車体強度を高めて軽量化を進めるために求められる溶接点間隔の縮小に制限があった。一方、レーザー溶接では溶接点間隔縮小の制限はないものの、重ね鋼板の板隙ばらつきの影響を受けるため、溶接品質の安定化に課題があった。
本発明は、重ね鋼板にレーザーを照射して溶融池を形成し、その溶融池全体を流動させてうねりを生じさせそのうねりが生じた溶融池が表面張力でまとまるようにレーザーを照射、走査することにより、板隙ばらつき等の影響を受けることなく、品質の安定したレーザー溶接を実現するものである。
本発明により溶接点間隔を最適化した高品質の車体溶接技術を実現した。これにより、少ない鋼板部材で高強度の車体製造が可能となり、軽量化によるCO2削減と安全性の向上に大きく貢献することができた。