令和元年度全国発明表彰 受賞発明・意匠概要(敬称略)
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内閣総理大臣賞
出入力性能に優れた長寿命大型二次電池の発明(特許第3769291号)
高見 則雄 | 株式会社東芝 研究開発本部 研究開発センター 首席技監 | |
稲垣 浩貴 | 株式会社東芝 電池事業部 セル応用技術部 部長 |
発明実施功績賞
車谷 暢昭 | 株式会社東芝 代表執行役会長CEO |
本発明は、車載用途や産業用途に用いられる大型二次電池に関するものであり、安全性や信頼性に係る厳しい要求を満足するとともに、高い出入力性能と長寿命性能を兼ね備えたリチウムイオン電池に関する発明である。従来の民生用小型リチウムイオン電池で一般に用いられる黒鉛負極には、電解液との反応等から生じる性能低下や安全性に課題があった。本発明では、黒鉛負極に替えてリチウムチタン酸化物(LTO)負極を用い、LTOの高品質化や微粒子化に改良を重ねて、電極内部面積が大きく低抵抗な多孔質電極の開発に成功し、出入力性能に優れた長寿命大型二次電池を実現した。
本発明の大型二次電池は、2008年に“SCiBTM”として世界で初めて製品化され、電気自動車やマイルドハイブリッド車をはじめ、バス、鉄道、無人搬送機、家庭用蓄電池、電力蓄電システムなどに幅広く採用されている。今後さらなる普及によって、地球環境、エネルギー・資源問題の解決と、安心・安全な社会に貢献することが期待されている。
図1 | 本発明の微粒子LTO電極の電子顕微鏡写真と大型二次電池“SCiBTM”の概観 | 図2 | 本発明のSCiBTMと本発明適用なしの従来リチウムイオン電池の6分急速充電サイクル性能 |