平成30年度全国発明表彰 受賞発明・意匠概要(敬称略)
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日本経済団体連合会会長賞
ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法の発明(特許第4525428号)
土田 直行 | 住友金属鉱山株式会社 顧問 | |
今村 正樹 | 住友金属鉱山株式会社 技術本部長 執行役員 | |
小林 宙 | 住友金属鉱山株式会社 金属事業本部 課長 | |
尾﨑 佳智 | 住友金属鉱山株式会社 金属事業本部 課長 | |
庄司 浩史 | 住友金属鉱山株式会社 技術本部 研究員 |
発明実施功績賞
中里 佳明 | 住友金属鉱山株式会社 代表取締役社長 |
本発明は、技術的に利用が難しかった低品位酸化鉱石からニッケル(Ni)やコバルト(Co)を回収する湿式製錬方法である。
鉱石中のニッケルやコバルトを高温高圧で硫酸溶液に浸出し、ニッケルとコバルトを含む硫酸溶液から鉄や亜鉛の不純物を除去し、硫化水素を用いてニッケルとコバルトを混合硫化物として回収する。この混合硫化物は、リチウムイオン電池などの原料に利用される。
発明によるニッケル実収率の向上とエネルギー効率の改善により、低品位ニッケル酸化鉱の経済的な製錬法が確立された。また、蒸気回収の技術改善や硫化反応の低温化によって設備トラブルが減少して稼働率が向上し、信頼性の高いプロセスが実現した。
さらに、亜鉛を除去する選択硫化を世界で最初に実用化し、高純度なニッケルの生産が可能となった。
この発明を用いた複数の工場をフィリピンに建設し、世界に類を見ない速さで商業生産を軌道に乗せることに成功した。