平成28年度全国発明表彰 受賞発明・意匠概要(敬称略)
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日本経済団体連合会会長賞
環境負荷軽減型超ハイテンPWS用鋼線材の発明(特許第4374356号)
山﨑 真吾 | 新日鐵住金株式会社 技術開発本部 鉄鋼研究所 棒線研究部 部長 | |
磯 新 | 新日鐵住金株式会社 君津製鐵所 品質管理部 線材管理室 主幹 | |
西田 世紀 | 新日鐵住金株式会社 知的財産部 知的財産第二室 主幹 | |
大羽 浩 | 新日鐵住金株式会社 君津製鐵所 線材部 線材技術室 |
発明実施功績賞
進藤 孝生 | 新日鐵住金株式会社 代表取締役社長 |
本発明は、橋梁を支えるパラレルワイヤストランド(PWS)用の高強度ワイヤの素材となる線材に関する発明であり、圧延工程インライン型の溶融塩浴熱処理(DLP)と、当該分野では適用例の無い、鋼成分へのボロン添加の組み合わせにより、鉛フリー熱処理による高強度ワイヤ用線材の量産に成功した。
DLP®処理ではリング状に巻き取った線材を溶融塩に浸漬して熱処理を行うため、リングの粗密による僅かな温度差で生じる金属組織の不均一性(伸線したワイヤの延性低下の原因となる)が課題であった。
本発明では線材段階での金属組織の健全化に、ボロン添加が有効であることを初めて明らかにした。これにより、橋梁用ワイヤの強度・延性を向上させると共に、従来行われていた線材のLP処理(溶融鉛熱処理)を廃して、鉛フリー化とCO2排出量削減による環境負荷低減を実現した。
本発明による高強度ワイヤ用線材は、世界の吊橋・斜張橋のセンタースパン長さTOP10の案件に複数件適用されている。今後各国の長大橋プロジェクトの推進に大きく寄与すると考えられる。