平成28年度全国発明表彰 受賞発明・意匠概要(敬称略)
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日本弁理士会会長賞
隣接効果を低減した多値フラッシュメモリの発明(特許第3935139号)
柴田 昇 | 株式会社東芝 メモリ事業部 主幹 | |
田中 智晴 | 元 株式会社東芝 |
発明実施功績賞
室町 正志 | 株式会社東芝 代表執行役社長 |
NAND型フラッシュメモリはSSD及びSDカード等の記憶媒体(図1)として使用され、微細化と1つのメモリセルに複数ビットを記憶する多値化により大容量/低価格化を実現している。しかし、微細化によりメモリセルの間隔が狭まると、隣接するメモリセルの書き込みにより、メモリセル内の見かけ上の電子の数(閾値)が変動して、誤データとなる問題(隣接効果)が深刻化する。
本発明は、複数のデータを記憶する際、まず一部のデータ(図2,①メモリセル(赤)に下位ページの1ビット分のデータ)を書き込み、この後隣接セルにデータ(図2,②③④隣接セル)を書き込み後、さらに改めて残りのデータ(図2,⑤メモリセル(赤)に上位ページの1ビット分のデータ)を書き込む事で、隣接効果の影響を低減させ、データ保持などの信頼性を向上させる。
70nm世代以降の微細化において隣接効果の影響の回避は不可欠であったが、本発明により、4値(2bit/cell)の隣接効果の影響を約1/3に低減し、多値化・大容量化の道を開いた。
図1 | 本発明を採用したSSD、SDカードと 多値NAND型フラッシュメモリ |
図2 | 本発明の書込み制御 及び 読み出されるセル内電子数の遷移 |