平成28年度全国発明表彰 受賞発明・意匠概要(敬称略)
(第一表彰区分一覧へ/第二表彰区分一覧へ)
21世紀発明奨励賞
痛みを軽減する植物由来の樹脂製採血針の発明(特許第4065906号)
福田 光男 | 株式会社ライトニックス 取締役 | |
青柳 誠司 | 学校法人関西大学 システム理工学部 教授 |
21世紀発明貢献賞
福田 萠 | 株式会社ライトニックス 代表取締役 |
医療における感染性廃棄物を安全に処理できる製品を目指し、ライトニックスは、青柳誠司教授との共同発明を特許化し、その後、同社の独自のアイデアで製品開発を行い、世界で初めて植物由来樹脂製針の製品化に成功。主に血糖値測定時に使用する指先採血針「ピンニックス®ライト」として国内外に販売している。
本事業には、原材料に100%植物由来の生分解性樹脂「ポリ乳酸」を使用。金属に比べて大幅に低い温度でも焼却可能にし、家庭ごみとしてでも廃棄できる製品の開発を目指した。
近年、医療機関外での金属製針等の使用が増加し、個人使用された金属製針の回収が確実ではなく新たなゴミ問題が発生。また、既に医療廃棄に携わる人へのB型肝炎ウイルス等の二次感染、マイクロプラスチックの環境破壊は社会的な問題となっているが、本発明は廃棄面での環境破壊を軽減することが可能と考えられる。
独自の超微細加工技術を駆使し、形状を蚊の口に模倣(バイオミメティクス)、針にギザギザをつけ、皮膚組織との接触抵抗を減少できることから、結果的に痛みを軽減すると評価を得ている。
樹脂針は、切削加工した刃を持つ金属針とは異なり刃がなく、先端に触れてもむやみに傷つかない構造となっている。
この技術が、強いては廃棄における二次感染を防止できると考えられる。
今後も「自然に還る」モノづくりを追求し、原材料からこだわることで、サステナビリティの実現に繋がることが期待される。
図1 | 特殊ギザギザ形状の特徴 | 図2 | ポリ乳酸製採血針の製品 (ピンニックス®ライト) |