平成28年度全国発明表彰 受賞発明・意匠概要(敬称略)
(第一表彰区分一覧へ/第二表彰区分一覧へ)
21世紀発明賞
ナノ粒子導入高磁場特性超電導線材の製造技術の発明(特許第5270176号)
三浦 正志 | 成蹊大学大学院 理工学研究科 准教授 (元 公益財団法人国際超電導産業技術研究センター 超電導工学研究所 研究員) | |
中西 達尚 | 昭和電線ケーブルシステム株式会社 超電導テクノロジーセンター ケーブルシステム開発グループ 主査 (元 公益財団法人国際超電導産業技術研究センター 超電導工学研究所 出向研究員) | |
須藤 泰範 | 株式会社フジクラ プリント回路事業部 開発部 主席研究員 (元 公益財団法人国際超電導産業技術研究センター 超電導工学研究所 出向研究員) | |
和泉 輝郎 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 エネルギー・環境領域 省エネルギー研究部門 主任研究員 (元 公益財団法人国際超電導産業技術研究センター 超電導工学研究所 副所長) | |
塩原 融 | 元 公益財団法人国際超電導産業技術研究センター 超電導工学研究所 名誉所長 |
21世紀発明貢献賞
大橋 省吾 | 昭和電線ケーブルシステム株式会社 取締役社長 | |
伊藤 雅彦 | 株式会社フジクラ 取締役社長 |
本発明は、安価な液体窒素下で使用可能なRE系(REBa2Cu3Oy, RE:希土類元素)超電導線材の磁場応用に向けた磁場中電流特性向上に関する発明である。応用に向けた課題は、磁場中電流特性低下の原因である超電導体内に侵入するナノサイズの磁束の運動を非超電導相導入により如何に効率的に抑制するかということである。
従来の化学液相法は、非超電導粉末を原料に添加した溶液を用いていたため、線材作製後に超電導層内に不均一かつ大きいサイズで存在し、効率が十分ではなかった。本発明は、Baと親和性の高いZr含有塩を原料溶液に混ぜることにより、ナノサイズ非超電導粒子をナノ間隔に均一分散させることに成功。その結果、本発明で作製したナノ粒子導入RE系超電導線材は、液体窒素下で従来線材に比べ高磁場まで非常に高い電流特性を得ることに成功した。
本発明は、長尺化・量産化へ展開され、今後、安全安心社会に役立つ医療や低炭素社会に役立つ輸送・産業応用が期待される。
図1 | 磁場応用に適したRE系 超電導線材の開発 |
図2 | 本発明線材の液体窒素下 磁場中電流特性 |