平成25年度全国発明表彰 受賞技術概要(敬称略)
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恩賜発明賞
新規統合失調症治療薬・アリピプラゾールの発明(特許第2893175号)
大城 靖男 | 大塚製薬株式会社 知的財産部・顧問 | |
佐藤 誠司 | 大塚製薬株式会社 探索第一研究所合成室・主任研究員 | |
倉橋 伸幸 | 大塚アメリカファーマシューティカルインク Global CNS business・Vice President |
発明実施功績賞
岩本 太郎 | 大塚製薬株式会社 代表取締役社長 |
統合失調症は、陽性及び陰性症状を特徴とする慢性の精神疾患である。本発明は、従来の薬剤に比べて治療効果及び安全性の高い新規化合物、アリピプラゾールを有効成分とする統合失調症治療薬に関する。
既存薬がドパミン(DA)のD2受容体遮断薬であるのに対し、本化合物は世界で初めてのD2受容体部分作動薬である。DA神経系が過剰に活動する場合(陽性症状)には遮断薬として、DA神経系の活動が低い場合(陰性症状)には作動薬として神経伝達を安定化し、統合失調症の両症状を改善するとともに、錐体外路系作用、体重増加等の副作用も少ないという特徴を有する。
本化合物は、日本発の新規作用機序を有する第三世代の統合失調症薬とされている。本薬剤は、70ヵ国以上の国や地域で承認され、例えば、アメリカにおいては、統合失調症や双極性障害の躁症状の治療の第一選択薬として推奨されており、さらには、世界初の大鬱病の補助療法剤としての適応も認められている。