平成25年度全国発明表彰 受賞技術概要(敬称略)
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21世紀発明賞
省資源型高強度電磁鋼板の発明(特許第4779474号)
田中 一郎 | 新日鐵住金株式会社 技術開発本部 鉄鋼研究所 主幹研究員 | |
藤村 浩志 | 新日鐵住金株式会社 技術開発本部 鉄鋼研究所 主幹研究員 | |
仁富 洋克 | 新日鐵住金株式会社 和歌山製鐵所 薄板部 主幹 | |
屋鋪 裕義 | 新日鐵住金株式会社 技術開発本部 鉄鋼研究所 | |
西田 宏二 | 新日鐵住金株式会社 鹿島製鐵所 薄板生産技術部 主幹 | |
高丸 広毅 | 新日鐵住金株式会社 和歌山製鐵所 薄板部 主査 |
21世紀発明貢献賞
友野 宏 | 新日鐵住金株式会社 代表取締役社長兼COO |
本発明は、磁気特性と強度を両立した高強度電磁鋼板に関する。強化機構として電磁鋼板分野では適用例の無い「転位強化」を採用し、過度の高合金化を抑制した省資源型の合金設計にて優れた特性を実現した。具体的には,製品板厚への圧延加工時に導入される転位により強度をアップし、鋼中に固溶するNb,Zr,TiおよびVによって再結晶を抑制することで,圧延加工時の転位による強化を製品の高強度化に活用した。これらの元素は転位の合体消滅を抑制する作用を通じ,磁気特性と強度の両立に好ましい特徴的なミクロ組織の発達に大きな役割を果たす。
本発明の高強度電磁鋼板は、その優れた強度特性によりモータの設計自由度を大幅に拡大させ、従来にない斬新なモータ構造の実現を通じてモータ性能を飛躍的に向上させる可能性を有している。本発明は、今後の適用範囲拡大、技術分野の拡がりを通じ、地球環境問題、エネルギー問題の解決に大きく貢献するものと期待される。
図1 固溶Nbによる再結晶抑制 | 図2 開発材の特徴的ミクロ組織 |