令和7年度全国発明表彰 受賞発明・意匠概要(敬称略)
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恩賜発明賞
ニッケルを用いた電極長寿命化技術の発明(特許第6120804号)
船川 明恭 | 旭化成株式会社 交換膜事業部 交換膜技術開発部 部長 | |
蜂谷 敏徳 | 旭化成株式会社 膜・水処理事業部 膜・水処理品質保証部 部長 |
発明実施功績賞
工藤 幸四郎 | 旭化成株式会社 代表取締役社長 |
本発明は、食塩水を電気分解し塩素、苛性ソーダを製造する電解装置(食塩電解)に使用される電極の劣化を抑制し、長期間の安定運転を可能としたものである。
塩素、苛性ソーダは、日常生活に広く用いられている様々な製品の原料となる化学品であり、食塩電解は世界の人々の生活基盤を支えている。
電解装置の運転を停止する際、電極が劣化する現象が起こるため安定運転が妨げられるという課題があり、各種機械設備を導入して対策が取られていた。
そこで本発明では、従来とは異なる着想の元、機械設備を用いることなく、特定の構造を有するニッケルを電解装置内に設置することで、停止頻度に関わらず電極の劣化を防止できる方法を見出し、工業化に成功、安定運転を可能としたものである(図2)。
本発明が搭載された電解装置は、世界中で使用され、採用がさらに拡大している。また、本発明は、アルカリ水電解等への電解プロセスへの応用も期待できる技術である。
図1 電解装置の外観 |
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図2 “特定の構造を有するニッケル”のイメージ図 |