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発明協会の表彰事業

令和6年度全国発明表彰 選考経過報告

 令和6年度「全国発明表彰」の選考経過をご報告申し上げます。

 まず、本表彰の候補を、昨年7月に朝日新聞紙上などを通じて公募するとともに、全国各地の発明協会や関係諸団体に推薦を依頼いたしました。
 その結果、全国の学界や産業界などから、優れた発明や意匠並びに功労者の方々の推薦を多くいただきました。

 推薦いただいた候補を、選考委員会において慎重に検討と評価を行い、恩賜発明賞や内閣総理大臣賞並びに未来創造発明奨励賞など、各賞を選定いたしました。
 恩賜発明賞として、塩野義製薬株式会社の川筋孝氏をはじめ4名による、『HIVインテグラーゼ阻害剤ドルテグラビルの発明』を選定しました。

 この発明はエイズを引き起こすHIVのインテグラーゼという酵素を阻害し、ウイルスの増殖を抑える化合物に関するものです。
 発明者らは、試行錯誤の結果、インテグラーゼの活性中心により強く結びつく化合物を見出し、構造の最適化の末に、ドルテグラビルを完成させました。
 この化合物は、酵素活性を担うマグネシウムイオンやウイルスDNA塩基といった変異し得ない部分と結合するものと考えられ、先行する第一世代のインテグラーゼ阻害剤の耐性変異ウイルスにも強い阻害活性を示すものです。
 本発明による治療薬は、世界各国で第一選択薬として推奨されております。耐性ウイルスの出現リスクが低いだけでなく、一日一回の服用で治療が可能で、副作用や薬物相互作用の懸念が少なく、HIVとともに生きる人々のQOLの向上に貢献しています。

 他の賞を受けられた発明や意匠にも優れたものが多く、ご紹介すべきではありますが、時間の都合で紹介は見送り、その詳細はお手元の『功績概要』をご覧いただきますようお願いいたします。

 本日、受賞された皆様には、これを機に、より一層研究開発や意匠の創作に邁進されますようご期待申し上げまして、選考経過の報告とさせていただきます。

令和6年7月11日

公益社団法人 発明協会

全国発明表彰 選考委員会
委員長  榊󠄀  裕之