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発明協会の表彰事業

令和3年度全国発明表彰 選考経過報告

 令和3年度全国発明表彰の選考経過につきまして、ご報告申し上げます。
 本表彰候補につきまして、昨年7月に、朝日新聞紙上等を通じて公募するとともに、全国各地域の発明協会をはじめ、関係諸団体に候補の推薦を依頼いたしました。
 その結果、学界・産業界等 各界より、多くの優れた発明及び意匠が寄せられ、功労者関係につきましても、全国より多数の推薦がございました。
 審査に当たりましては、選考委員会において慎重な審議を行い、恩賜発明賞及び未来創造発明賞以下、各賞を選考いたしました。

 恩賜発明賞に選考されたのは、キヤノンメディカルシステムズ株式会社の宮崎博明氏をはじめ2名の発明者による、『大視野CT検出器用データ読み出し方法の発明』でございます。
 本発明は、医用X線CT装置の検出器において、検出素子の配線数や処理回路数を削減しつつ、高速かつ高精度で広範囲のデータ読み出しを可能にしたものであります。
 これにより、脳や心臓のような臓器全体を1回転でスキャン可能な大視野CTの開発に成功し、被ばく線量の大幅な低減、撮影時間の短縮を実現する等、医療の発展に貢献しました。

 また、未来創造発明賞には、国立研究開発法人産業技術総合研究所及び国立研究開発法人科学技術振興機構による『磁気記録の進化に資する配向性多結晶MgOトンネル磁気抵抗素子の発明』を選考いたしました。
 産業技術総合研究所の湯浅新治氏が発明した本件は、トンネル障壁に配向性多結晶の酸化マグネシウム、強磁性電極にコバルト、鉄、ホウ素を含む磁性合金等を用いて、従来の約10倍の磁気抵抗効果と優れた量産性を実現したものであります。
 現在すべてのハードディスクの磁気ヘッドに採用されているほか、不揮発性メモリSTT―MRAMとしても実用化される等、情報化社会の高度化に貢献しているものです。

 他の受賞発明及び意匠につきましても優れたものばかりであり、各々に関しご紹介すべきと存じますが、詳細はお手元の功績概要をご覧いただければと存じます。
 本日、受賞された皆様には、これを機に、より一層研究開発や意匠の創作に邁進されますようご期待申し上げます。
 以上をもちまして、簡単ではございますが選考経過の報告とさせていただきます。

令和3年6月22日

公益社団法人 発明協会

全国発明表彰 選考委員会
委員長  末松 安晴