令和2年度全国発明表彰 受賞発明・意匠概要(敬称略)
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朝日新聞社賞
バイオマス資源由来の汎用ポリエステル製造技術の発明(特許第4380654号)
青島 敬之 | 三菱ケミカル株式会社 Science & Innovation Center, Inorganic Materials Laboratory 所長 | |
加藤 聡 | 三菱ケミカル株式会社 Science & Innovation Center, Polymer Laboratory 主席研究員 | |
新谷 昇 | 三菱ケミカル株式会社 人事部(環境省へ出向中) | |
植田 正 | 三菱ケミカル株式会社 高機能ポリマー部門 パフォーマンスポリマーズ本部 機能性樹脂事業部 テクニカルセンター バイオプラスチック開発室 室長 | |
山岸 兼治 | 三菱ケミカル株式会社 インフラ・アグリマテリアルズ本部 ITファームプロジェクト マネジャー | |
磯谷 篤志 | 三菱ケミカル株式会社 三重研究所 基礎化学品研究室 マネジャー |
発明実施功績賞
和賀 昌之 | 三菱ケミカル株式会社 代表取締役社長 |
本発明は、バイオマス資源由来のジカルボン酸やジオールを主原料とするCO2排出量削減に貢献する環境調和型のポリエステルに関する発明である。本発明はバイオ化学と高分子化学の融合により達成された技術であり、原料中に特異的に存在する窒素含有成分に着目して、化学精製技術を駆使してその含有量を制御する技術を確立し、窒素原子を0.01ppm以上1,000ppm以下含有し、実用強度、実用耐久性並びに意匠性に優れたバイオポリエステルの製造技術を完成させたものである。
実用化例の一つとして、本発明を用いたポリブチレンサクシネートの大型商業生産技術を完成させ、コスト低減を実現することで世界的な普及に弾みを付けた。特に、その高い生分解性の機能は、食品用途や農業用マルチフィルム用途で高い評価を受けている。
本発明により従来の化石資源からの生産、消費、廃棄といった一方向の化学システムからの脱却と循環型社会システムの構築に貢献することが期待される。
図1 本発明を用いた ポリブチレンサクシネート(PBS) |
図2 バイオマス由来PBSの a)各種成形体と b)土 中埋設時の石油資源由来品との形状変化の違い |