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発明協会の表彰事業

平成22年度全国発明表彰 受賞技術概要
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経済産業大臣発明賞
化学増幅型フォトレジスト用材料の発明(特許第3297272号)

野崎 耕司
株式会社富士通研究所 基盤技術研究所 主管研究員
矢野  映
株式会社富士通研究所 取締役 基盤技術研究所長
渡部 慶二
株式会社富士通研究所 基盤技術研究所 主管研究員
並木 崇久
富士通株式会社 購買本部エンジニアリング購買統括部 グリーン調達推進部
小澤 美和
株式会社富士通研究所 基盤技術研究所集積技術研究部
牧野 庸子
元 株式会社富士通研究所
武智  敏(*)
富士通セミコンダクター株式会社 知的財産本部 標準推進部 プロジェクト課長
*敏の字は毎の下が母
小太刀 明子
富士通セミコンダクター株式会社 アドバンストプロダクト事業本部ASIC事業部海外マーケティング部
髙橋  真
元 富士通株式会社


発明実施功績賞

山本 正已
富士通株式会社 代表取締役社長


 本発明は、90nm世代以降の半導体大規模集積回路(LSI)製造の最先端微細加工技術を実用化した感光材料=ArF(フッ化アルゴン)用化学増幅型 フォトレジスト用材料(以下、ArFレジスト)に関する。LSIの性能は、写真製版法(リソグラフィ技術)で用いる光の波長を短くし、回路をより小さく形 成することによって飛躍的に向上してきた。今世紀初頭に必要とされた90nm世代のLSI製造には、従来より短い波長(193nm)のArFエキシマレー ザ光が要求され、実現には新しいArFレジストが不可欠であった。
 発明者らは、独自の材料設計に基づき、レジストの化学構造に新規なラクトン基を適用することによって高い親水性を実現した。これと高い反応性の脱離型ア ダマンチル基とを組み合わせた親水性-疎水性を高度にバランスさせる画期的な材料技術の開発によって、高い感度・解像性等、LSI製造に必要な全ての性能 を達成したArFレジストを世界で初めて実用化することに成功した(図1)。
 本発明のArFレジストは、推定10兆円/年以上の市場規模となっている90~32nm世代の先端LSI製造において世界の標準レジストとなり、半導体 産業だけでなく今日のICT社会の発展にも大きく貢献している(図2)。




図1 本発明のArFレジストの樹脂構造と形成された70nmのレジストパターン



図2 本発明のArFレジストを用いて製造されたLSI