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平成22年度全国発明表彰 受賞技術概要
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21世紀発明発明奨励賞
有機修飾金属酸化物ナノ粒子の発明(特許第4336856号)

阿尻 雅文
国立大学法人東北大学 原子分子材料科学高等研究機構 教授



 超臨界水熱合成法を発明し、有機修飾金属酸化物ナノ粒子を世界で初めて創製した。すでに、超臨界場を用い、金属塩から金属酸化物をナノ粒子として合成する手法を発明していたが、さらに、金属塩水溶液と有機分子とが任意の割合で均一に混合する点に着目した。すなわち、有機分子を共存させることで、ナノ粒子の生成と同時にカルボン酸やアミン等と粒子表面の水酸基との間で脱水反応が進行し、これにより、有機分子が表面に高密度で強固に化学結合したナノ粒子が合成されることを発見した。
 表面に有機分子が結合しているため、有機溶媒中にも凝集せずに透明に高濃度分散する。本発明により、種々の有機・無機ハイブリッドナノ材料の創製やナノ粒子高濃度分散液の開発が飛躍的に進展すると期待される。それにより、電気電子材料、光学材料、触媒、自動車、エネルギー、環境技術、医療応用技術等、極めて広い分野への波及効果が期待される。


図1 有機修飾された7nmのCeO2ナノ粒子の電子顕微鏡写真
完全な立方体のため、Ce原子、酸素原子にも焦点があっている。
また、粒子表面には結合した有機分子も見える。


図2 ナノ粒子表面には有機分子が結合しているため、
一般のナノ粒子と異なり、凝集せず、有機溶媒に高濃度に透明分散する