安定成長期
ラップトップ・ノートパソコン
発明技術開発の概要
ノートPCの限定された空間にデスクトップPC並みの機能を組み込むためには、極めて高度な機構設計力、実装技術力及び部品製造力の全てが要求される。以下で、ノートPC開発を可能とした日本企業の能力・技術力の概要について述べる。
世界初の実用に耐えるラップトップPCである東芝の「T1100」は、モノクロ液晶ディスプレイを搭載し、当時米国の標準であったIBMパソコンとの互換性を有し重量は4.1kgであった。このスペックは、以下の技術開発によるダウンサイジングと、知財面からの徹底した検討を踏まえたソフトウエアを構築することによって実現された。
①CPU周辺のハードウエアやディスプレイコントローラーのゲートアレイ化
②軽量化と高解像度実現のため液晶ディスプレイを使用
③独自開発による3.5インチフロッピーディスクドライブ装置の実現
④8時間駆動可能なニッケルカドミウム2次電池の開発
⑤緩衝保護のための2軸クラムシェル機構採用
⑥コストダウンのためのDRAM採用
また、さらに小型・軽量化を実現し、ノートPCの幕開けとなった「Dynabook J3100SS」は、薄型バックライト液晶ディスプレイを搭載し、A4サイズで厚さ44mm、重さは2.7kgと画期的な小型軽量PCであり、しかも20万円を切る価格であった。このリリースのためにはそれまでのパソコンの部品すべてについて見直し、以下の技術開発を要した。
①メイン基盤の凝縮
②エレクトロルミネサンス(EL)バックライト
③筐体堅牢化のためのバスタブ構造の開発
④2.5インチHDDの開発