公益社団法人発明協会

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ラップトップ・ノートパソコン

概要

 パーソナルコンピューター(以下「PC」と呼ぶ)は、その発達とともに「場所を選ばずに使いたい」という人々のニーズに合わせて小型軽量化が追及されてきた。1980年代半ば頃、デスクトップに遜色ないキーボード等入力装置とディスプレイを備え、さらにバッテリーとディスプレイを内側に二つ折りにする形態を持つことで可搬性を有したラップトップコンピュータ(以下、「ラップトップPC」と呼ぶ)が出現した。1985年、東芝が開発したPC「T1100」はモノクロ液晶ディスプレイを搭載し、当時米国の標準であったIBMパソコンとの互換性を有し重量は4.1kgのラップトップPCを実現した。さらに、1989年に東芝が発売した「Dynabook J3100SS」は、薄型バックライト液晶ディスプレイを搭載し、A4サイズで厚さ44mm、重さは2.7kgと画期的な小型軽量で、しかも20万円を切る価格となった。同年、セイコーエプソンや日本電気(以下「NEC」と呼ぶ)もほぼ同スペックの製品を発表し、ラップトップを超えるノートパソコン(以下「ノートPC」と呼ぶ)と呼ばれる新たなジャンルが、日本企業によって確立されることとなった。

 さらに日本企業は、高度な機構設計力、実装技術力及び部品製造力を駆使して、ノートPCのサイズにデスクトップPC並みの機能を組み込むための開発をリードしていった。日本のものづくりの技術が集約されたノートPCは、1990年代前半、急速にコモディティ化・低価格化するデスクトップPCに対して、日本PCメーカーの収益源であり続けた。2000年にはノートPCの売上げはデスクトップPCを上回り、PCの主流はノートPCとなった。

 近年は、ノートPCもその市場はスマートフォンやタブレットによって代替されるようになってきた。しかし、ノートPCの技術無くしてはこれらの登場は無かったと思われる。2013年10月米国の電気電子学会(IEEE)は、東芝T1100のラップトップPCの発展への先駆的寄与を評価し、マイルストーンに認定した。


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