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イメージセンサー(CCD・CMOS)
概要
撮像デバイスの研究開発は、19世紀後期のテレビジョン研究がスタートである。機械式、撮像管、固体撮像素子(以下「イメージセンサー」と呼ぶ)と発展し、社会に大きなインパクトを与えつつ、大きく発展してきた。
真空管の一種である撮像管は、サイズが大きい、割れ物である、消費電力が大きい、画像にゆがみがある、高価である、などの欠点があり、固体化が望まれていた。1960年代半ばにイメージセンサーの開発がスタートした。そのときは、MOS(Metal Oxide Semiconductor)型が中心であった。
1970年にBoyleとSmith(当時Bell研究所)がCCD(Charge-Coupled Device、電荷結合素子)を発表した1。構造が単純であり、イメージセンサーのような大規模なアレイ構造を製造するのに適していること、矢継ぎ早にCCDに改善が加えられたことから、イメージセンサー開発の中心はCCDになった。1970年後半からは開発の中心は日本に移った。1978年、山田哲生(当時 東芝)は、強い光が入射したときに縦線の偽信号を発生させるブルーミングを抑制する縦型オーバーフロードレイン構造を発明した2。1979年には寺西信一(当時 NEC)が、白傷や暗電流を大幅に低減し、残像や転送ノイズを解消する埋込フォトダイオード(Pinned Photodiode)を発明した3。これらの結果、CCDはまずムービーを、引き続きコンパクトデジタルスチルカメラを主な市場として量産されていった。
1990年代になると、CMOSの微細化が進み、4個ほどのトランジスターを画素内に配置することが可能になり、さらには、埋込フォトダイオードをCMOSイメージセンサーに適用することでCCDと同等以上の低ノイズが達成でき、世界の多くの機関で熱心に開発が進められた。2000年に米田智也ら(当時 キヤノン)が、強い光が入射したときに発生するシェーディングを抑制する構造を発明した4。2001年に鈴木亮司ら(当時 ソニー)が、裏面照射型に関する発明をした5。これらの技術開発によりCMOSイメージセンサーが主役になり、低消費電力という特性のお陰もあり、携帯電話に搭載され、生産量を爆発的に増加させていった。2010年に梅林拓ら(当時 ソニー)が、イメージセンサーに画像処理回路を積層する構造を発明し6、高速化と多機能化を飛躍的に推し進めた。
2014年には携帯電話用を中心に約38億個もの生産が行われた。パソコンカメラ、デジタルスチルカメラ、ゲームなどのコンシューマー用途、監視用、車載用、放送用カメラなどの社会インフラとして、さらには医療、科学用などあらゆるところでイメージセンサーが使われるようになった。
CCD撮像素子(ICX008)
(画像提供:ソニー)