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内視鏡

概要

 がんは国民病とも言われるように、日本人に最も恐れられている病気の一つである。そのがんの早期発見・治療に現在絶大な力を発揮しているのが、内視鏡と呼ばれる医療器具である。内視鏡の歴史はその起源をたどると古代ギリシア・ローマ時代にまで遡ると言われているが、実用的なレベルで発展を遂げてきたのはここ一世紀ほどのことである。オリンパス光学工業(現 オリンパス(2003年に社名変更)、以下「オリンパス」という)は、戦後間もない1940年代後半から東京大学病院の要請を受けて胃カメラの開発に取り組み、その後ファイバースコープ付き胃カメラ、ビデオスコープ、超音波内視鏡、ハイビジョンシステム、カプセル内視鏡というように、常にこの分野での技術開発の最前線に立ってきた。現在、オリンパスは内視鏡分野における世界市場においてシェア70%を占めているが、その開発過程では前述の東大病院医師団との緊密な協力と連携の歴史から始まり、普及が進むとともに多くの現場医師とのコミュニケーションを深めつつ更なる進歩を生み出してきている。

 従来では、がんの治療は患者の負担が大きい開腹手術が当たり前となっていたが、現在では早期がんであれば大半は内視鏡によって治療がなされている。また内視鏡の発達によって、患部の早期発見にはそれが体内であれ定期検診による診断が重視されるようになり、予防医学の発展にも大きく貢献するところとなっている。産学連携がもたらした優れた発明として、また、患者負担を大きく軽減し医療現場の光景を一変させた技術開発として内視鏡の開発は日本が育んだ優れたイノベーションといえよう。

V型胃カメラ_GT-V(1960年)

V型胃カメラ_GT-V(1960年)

画像提供:オリンパス


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