公益社団法人発明協会

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ハイブリッド車

発明技術開発の概要

 もともとハイブリッドシステムには、エンジンで発電機を駆動し、発電した電力によってモーターが車輪を駆動するシリーズハイブリッド方式と、エンジンとモーターが車輪を駆動し2つの駆動力を状況に応じて使い分けることのできるパラレルハイブリッド方式の2種類が存在していた。THSの開発にあたってシミュレーションを行ったトヨタは、どちらの方式も単独では当初定めた目標を実現する上で不十分であると判断し、パラレルハイブリッド方式にシリーズハイブリッド方式を組み合わせ、それらの長所を最大限引き出すように構成する方針を採用した。

 ハイブリッドシステムは動力源としてガソリンエンジンと電気モーターを備えているが、基本となるのはエンジン動力である。エンジン動力は遊星歯車を使用した動力分割機構により、車輪の駆動力と発電駆動力に分割される。発電した電力はモーター駆動に直接使用されるか、インバーターで直流に変換され、高電圧バッテリーに蓄えられる。なお、動力分割機構及びモーター、発電機、減速機からなるハイブリッド用トランスミッションは、乗用車用としてコンパクトに構成されている。運転中の各フェーズにおけるシステムの作動については以下のとおりである。

  • 発進時及び軽負荷時

発進時やごく低速で走行するとき、緩やかな坂を下ったりするときなど、エンジン効率の悪い領域では、燃料をカットしてモーターにより走行する。

  • 通常走行時

エンジンの効率が良い通常走行時には主にエンジン動力を用いる。その際エンジン動力を、動力分割機構を用いて2経路に分割する。一方は車輪を直接駆動し、他方は発電機を駆動して発電し、この電力でモーターを回して車輪の駆動力をアシストしている。

  • 全開加速時

急な上り坂や追い越し時のように強い加速力が必要なときは、バッテリーからもパワーが供給され、更に駆動力を追加する。

  • 減速時・制動時

ブレーキを踏んだりアクセルを緩めたりするときには、車輪がモーターを駆動し、発電機として作用させ、回生発電を行う。回収したエネルギーはバッテリーに蓄えられる。

  • 停止時

自動的にエンジン・モーターを停止する。

このようなTHSが搭載された初代プリウスは28km/Lで走行することができ、これは従来のガソリン自動車に比べて約2倍の燃費効率であった。また、有害な一酸化炭素、HC、NOの排出量については規制値に比べて約10分の1に抑えられている。また、ハイブリッドカーは電気自動車のように外部電力を用いて充電する必要がないため、従来のインフラの中でその利便性を発揮することができる。

 

 (本文中の記載について)

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